2022/06/27 トレンド情報 タオルも、シーツも、包布も、ガウンも、価格高騰が止まらない理由、、、今後はどうなる?
お世話になっております。
今回の記事は表題の通り、業界としてもかなり注目度が高い話題に触れていきます!
昨年末からここ半年ほどで、あらゆる商品の値上げが続いています。
食料品や飲食店などをはじめ、電気料金などの公共料金まで
生活に大きな打撃を与えていると連日ニュースにもなっていますね。
大好きなセブンイレブンのコーヒーも値上げになるのは個人的に痛いところです。
そんな状況ということもあり、
弊社の商品も、昨年末から段階的に値上げをせざるを得ず、
大変心苦しく思いながら悪戦苦闘しています。
リネンサプライ業を営んでいらっしゃるお客様は、その先の宿泊施設や病院などのお客様に、
何故このように物の値段が高騰しているのか説明し、
値上げを認めていただくことに苦労なさっているのではないかと推察しています。
そこで今回はこの記事にて価格高騰の背景についてお伝えできればと思います。
値上げの主な要因
弊社ですと、多くの製品が昨年と比べて10~30%程度値上がりしており、
モノによっては50%程度値上がりしたものもあります。
ここまで大幅な値上げとなった要因として、以下が挙げられます。
①急激な円安
昨年末から徐々に為替が円安方向に振れ、
海外での製造が主流であるリネン資材は円安の影響を大きく受けています。
特に今年の3月からは急激に円安が加速し、
当時1$=115円前後だった相場が、6月15日には1$=135円まで円安が進み、
たったの3か月で1$の商品が、実質20円の値上げ(約15%増)になったことになります。
この1$=135円というのはおよそ23年ぶりの水準だそうです。
主な原因は、日米の中央銀行がとっている政策の違いで、
日本銀行は「これ以上の円安は良しとしない」と言いつつ、これを防ぐことも難しい状況です。
②資源価格の高騰
<綿花>
世界経済のネタ帳:https://ecodb.net/commodity/cotton_a_indx.html
綿花の価格が昨年の同時期から比べて約1.5倍にまで上昇しており
資材価格にダイレクトに影響しています。
原因としては
停滞していた世界経済が正常化に向かって、消費需要が増す一方、
主な綿産国の収穫予想が下方修正され、
供給量が需要に追い付いていないことがあります。
また、旺盛な需要を背景に投資マネーも投入されており、
価格を吊り上げている要因のひとつになっています。
<原油>
世界経済のネタ帳:https://ecodb.net/commodity/group_oil.html
あらゆる機械や輸送機のエネルギーとなる、
原油価格は昨年の同時期から比べて約2倍に上がっています。
原因としては、
コロナ後のリベンジ消費に伴う需要増と、
ロシアのウクライナ進行に対する経済制裁が相まって、
価格の高止まりを維持している状況です。
③輸送費の上昇
原油価格の上昇も原因の一つですが、
コロナ禍が過ぎ去りつつある欧米を中心にモノの需要が増し、国際間の輸出入が増える一方、
荷物を積載する船舶やコンテナの供給が追いついていないことが大きな原因で、
2020年から海上輸送費が上昇し、いまだ高値圏を維持しています。
一つの例では、上海からの輸入便の海上輸送費が、コロナ前の3倍程度になってしまいました。
今まではここまで複数の要素が同時に値上がりすることは珍しく、
為替の差や工場との交渉で何とかやりくりしていた面もありましたが、
今回に限ってはこれらの要因が乗算的に掛け合わさり、
工場への交渉の余地はなく、自社の努力だけでは受け止めきれなくなっています。
今後の予測
そして、皆さんの一番気になるところが、
「じゃあ、今後はどうなるんだ?」というところだと思います。
あくまで参考にしかなりませんが、それぞれの展望についてまとめましたので、
検討材料としてご確認ください。
為替の展望
日本は景気回復が出来ておらず、金融緩和を継続して低金利を維持する見込みです。
一方、アメリカはインフレを抑えるため金利を段階的に引き上げていく方針です。
そのため日米の金利差は当分埋まらない見込みで、それに伴い円安も継続すると思われます。
NHKでは、6/15に以下のように伝えています。
日本総合研究所 松田健太郎副主任研究員
「FRBはことしの夏ごろまでは、インフレ抑制に向けて強い姿勢を続けるとみられる。金利差の相関関係から見ると、アメリカの長期金利がまだ上昇していくので、1ドル=140円くらいの水準となってもおかしくはない。
アメリカが金利を極端に上げすぎると、アメリカ経済の減速が避けられない事態に向かう懸念もあり、その場合はむしろ円高方向に向かう可能性もある。
綿花の展望
投機マネーが価格を押し上げている分、
利益確定売りが出れば価格が下落する可能性もありますが、
様々な要因が絡み合って現在の需給ひっ迫につながっているので、
展望を予測するのは難しくなっています。
繊研新聞で4/15に以下のように伝えています。
綿花相場が上昇を続けている。要因はコロナ禍からの市況回復や主要産地・米国での雨不足、物流の停滞など様々に絡み合う。ウクライナ情勢や投機筋による売り買いを背景に下落局面も見られるが、基調は右肩上がり。
原油の展望
昨今、環境保護の観点から世界的に化石燃料への投資が控えられており、
需要に合わせて増産することが難しくなっています。
それに加えてロシアへの経済制裁も相まっているので、
しばらくはコロナ後の消費拡大に伴う需要に供給が追い付かないとの予測がされています。
ニッセイ基礎研究所が6/10のレポートで以下のように伝えています。
原油需要が増加する一方で、制裁の影響によってロシアの供給が減少し、米国やOPECプラスの増産も限定的に留まることを背景に、世界の原油需給はタイトな状況が続き、原油価格の高止まりに繋がると見ている。
輸送費の展望
当初2022年の旧正月(2月頃)を境に、落ち着くと考えられていた輸送費ですが、
6月現在でも高値圏を維持し続けており、今後を予測するのは困難のようです。
Digimaの6/10掲載の記事で以下のように伝えています。
海上運賃の上昇はピークに達したものの、依然のような価格帯に下がるのは難しく、今後もしばらく海上運賃は高値をキープしていくという予測も濃厚になっています。なぜなら、ここまで述べたように、コンテナとそれを運ぶコンテナ船が世界中で不足していて、それらの生産が現場の需要に追いつくのには、まだまだ時間が必要だからです。
https://www.digima-japan.com/knowhow/united_states/18644.php
これらを総合的にみて、現状では価格が下がる材料は乏しいと考えられます。
当面は現状のような高止まり傾向が続くとみられ、
むしろ更に値上がりとなるリスクを考えるべきと思われます。
(※あくまで予想です。もちろん値下がりする可能性もあります。)
最近、あらゆるリネンサプライ工場から「人手不足が深刻で、この数年で作業効率も落ちている」
というご相談をよく受けます。
今はなんとかなっていてもこれからは、
全国対象の県民割や、海外からの受け入れの緩和が発表され、
出張や旅行を控えていた層の揺り戻り、8月には夏休みも控えています。
急に需要が増えた時に資材が足らないと、
残業して必死に洗い、非効率な再配達の調整をする必要が出てきて、
人件費の高騰や就労環境の悪化が心配です。
ここ数年の資材価格高騰やコロナ禍による稼働率低下が、資材の補充をためらわせると思いますが、
在庫を厚く持つことで、残業や再配達などのコスト増を避けることが出来、
むしろコスト削減に成功しているリネンサプライの会社があることもまた事実です。
アフターコロナの需要爆発に備え、資材の統一化や補充も選択肢に入れてみてください。
(もちろん工場によって状況はバラバラなので、取るべき対策もそれぞれだと思います)
このような厳しい局面でこそ、我々のような資材屋の腕の見せ所だと思います!
白木屋に培われた、創業から約70年のノウハウでお客様のお悩みをサポートしますので、
資材の見直しや、ホテルなどへの提案のお手伝いなど、
お問合せフォームや、弊社営業担当までお気軽にご相談下さい。